伝説のクソ映画「The Room」がYouTubeで無料公開されていた件
事の始まり
だいぶ前のことなんですがTwitterでこんなものを見かけました
Cinematic train wreck, “The Room”, is now on YouTube in its entirety https://t.co/Kz3o5tFC3H by @jshieber pic.twitter.com/GKND5R86LN
— TechCrunch (@TechCrunch) 2018年9月22日
はい。知っている人は知っている、かもしれない、主に本国アメリカで絶大な人気、というか不人気を誇っているカルト映画です。
その不人気たるやすさまじく、世界各国で定期的に上映会が開催され、登場人物に扮した観客が席を埋め尽くし、映画のクライマックスシーンにかかると全員がスプーンをスクリーンに投げつけるというのがおきまりみたいです。
ストーリーの大筋は主人公ジョニーの婚約相手リサが主人公の親友マークと浮気してしまうというだけ(Wikipediaはネタバレがあるから読まないほうがいい)。
この映画ひとつすごい点があって脚本、製作総指揮、キャスティング、を主演のウィソーがひとりでこなしているということです。しかも制作資金は自分のビジネスから捻出した言うから驚きです。
自分は下の動画をみてこの映画を知ったんですけど、どうやら"The Room"は「クオリティは決して高くないのに、妙な魅力を感じさせる作品」のようです。おお、なんだそれということで実際に見てみました。
感想
でまあ感想なんですけど、ひどかった。
日本語の字幕はなかったので理解できるか心配だったんですけど、英語の会話文がテキストブックから引っ張て来たような不自然なものばかりで逆に聞き取りやすいというかなんというか。笑いのセンスとかそういう心配は無用で、全体的にアカン雰囲気が漂っています。
会話に行き詰るとヒロインが必ず"I don't know what to do."みたいなことをいうんですけど、いや未来の夫の親友と浮気して気まずくしてるのお前だから!と突っ込みを入れたくなります。
話の性質上ベッドシーンが多いんですけど、床上での主人公の動きが芋虫じみている。体を揺らしながらやたらと尻を誇張してくるあたりが癪に障ります(あといろいろ微妙に見えている)。
あと話がところどころ飛躍します。途中からでてくる「デニー」というちっちゃい奴が麻薬の密売人に脅されているところを主人公ジョニーが目撃しマークと一緒に助けるというシーンがあるのですが、助けられたデニーが「僕はリサが好きだ」と唐突な愛の告白。いやいや、これ以上余計な関係とかいらないんですけど、と思ってたらジョニーが急に「愛」について語りだし、事態はまるーく収束。このプロットいる?
ほかにも、リサの親友ミシェルとマイクが主人公宅にやってくるんですけど、ジョニーとリサは外出中。家主不在のリビングルームで何をするかと思えば唐突におっぱじめる。いや、ここでする必要ある?テニサーの方がまだ分別あると思うんだけど。なんで我々はこの不必要なお色気シーンを見せられてるの?困惑します。
あと最後まで見ればわかるんですけどオチがひどい。見てた時は悪い意味で期待を裏切られました。主人公が不憫です、彼は悪くない。
じゃあなんでこんなの見るのさ
演技とか撮影とかほかにもいろいろとよろしくない点が多い映画でしたが。全体的には満足でした。魅力はあるかと聞かれればあると答えるが、良作かと聞かれれば絶対に違うと答えるタイプの映画です。矛盾してますね。
ただ脚本・総指揮・主演男優・キャスティングと映画の大部分を決める要素が”ウィソー”という一人の男によって占められているため、通常の映画では味わえない妙な一貫性が表れています。それに作品の随所に散りばめられた彼の美学といいますか、アメリカの男の生き様のようなものが投影されていて、ちょっと圧巻されている気になります(多分プラシーボ)。
お金いっぱい使ったアベンジャーズも面白いけど、低予算のパラシネマにも魅力はあるねと。そんな感じで世界は広いなと思った夜でした。
参考
- ザ・ルーム - Wikipedia
- ジェームズ・フランコの愛する史上最低映画『ザ・ルーム (2003)』を語る
↑いろいろ詳しく乗ってます